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◇大山消防本部◇(富山)

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大山町は、富山県の南東部に位置し、東端は長野県、南端は岐阜県に接する県境の町で、人口一一、OOO人余、総画横五七五?q2で県の面積の七分の一を占め、北陸の本部中最大の面積を有する。町域の九割以上を森林が占め、中部山岳公園、有峰県立自然公園など豊かな自然に恵まれ、特に、立山黒部アルペンルートの玄関口として、さらに立山山麓での極楽坂・らいちょうバレー・粟巣野の各スキー場や家族旅行村などリゾートゾーンとしての賑わいをみせている。
また、アルプスからの豊富な水資源を利用して、二三の発電所を有する電源の町でもある。
最近では、人口対策としての工一場誘致、住宅団地の造成、富山国際大学・富山職英学園の開設等、地域の活性化を推進している。
昭和三〇年に一町三村(上滝町、大庄村、福沢村、大山村)が合併して大山町となり、消防本部は昭和三五年に発足。現在、一本部、一消防署、一分遣所、二一名の職員と一団、五分団、一八一名の消防団員が、地域防災の任に当たるとともに、今般、全国モデル広域化の指定を受けたため、富山県国体が開催される二、〇〇〇年の運用を目指し検討を進めている。
♪「あばれ川」
大山町を流れる常願寺川は、普段の水嵩は二〇?p程度であるが、ひとたび集中豪雨があると一m以上にもなり濁流と化すため、異名「あばれ川」と呼ばれている。
昨年七月、遊泳中の中学生三名のうち一人が増水により流され、翌月には上流での集中豪雨による急激な増水のため、バーベキュー中の二パーティー一二名が中州に取り残されたが、立山町消防救助隊と連携し、救命索発射銃によりロープを展張するなど、いずれも適切な救助活動により無事救助した。
♪山小屋査察の実施
北アルプスを管内に抱えるため、近年の登山ブームで登山者が急増している中で、登山中の事故による出動が年間二〜三件ある。本格的な夏山シーズンを迎え、毎年七〜八月には管内に位置する薬師岳、黒部五郎岳、鷲羽岳、水晶岳、野口五郎岳等に建つ一三ヵ所の山小屋査察を実施している。
職員二名一組で二泊三日、三泊四日のコースに分かれ、山小屋の出火防止、森林火災防止、登山事故防止等の広報を兼ねて実施するもので、「三、〇〇〇m級の山々を縦走する辛さはあるものの、査察を成し終えた時の充実感はそれに優る」と参加職員の感想である。
♪「消防の広場」の開催寺
広く町域住民に防火を呼びかけるため、一一月三日(文化の日)には「消防の広場」を開催しており、救助体験、煙体験、応急救護措置、ちびっこ放水体験、救助資機材展示等を通じ、防火意識の高揚に努めている。(写真)
また、高齢者一災害弱者)対策を重点に、一人暮らし老人・身体不自由者家庭への防火訪問や小学生に対する火災予防研究発表会、防火作品の募集等を実施している。
さらに、毎年六月には山火事防止の行事として、雪で不通となっていた有峰林道の開通式に合わせ、婦人防火クラブ、少年消防クラブ員らとともに携帯灰皿、チラシ等を配布し防火を呼び掛けている。
♪講和協調の精神
少数の職員の中で四週八休制の導入以降、教育、研修等による当直体制の確保に大変苦慮しており、非番の日でも定時で帰れる日は少ないが、そこは、職員がお互いにカバーし合い、相互間の問題は協力調整して解決を図るとのこと。また、「住民に対しては、懇切丁寧に接するとともに、住民の防災に関する高い期待感に応えるため、常に住民のニーズを的確に把握し、きめ細かなサービスに努めていく」と力強い言葉が印象的であり、同時に家族的な雰囲気を実感した消防本部であった。(落合俊夫)

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